ロシア・アヴァンギャルド(2)
マリネッティの宣言文に続けて、ベンヤミンは語る。
この宣言文の長所は明快という点である。弁証法的な思想家も、こうした明快な問題提起のしかたは学んでもよい。しかし、弁証法的に考える人間には、現代の戦争の美学もマリネッティの把握とはちがってくる。すなわち現在の所有関係に基づく秩序によって、生産力の自然な利用が抑制されると、生産力は不自然な利用を求めるようになる。これは、技術の発達・テンポ・動力源の増大からくる当然のなりゆきである。不自然な利用とは戦争にほかならないが、戦争のすさまじい破壊力を考えるならば、これでは、現代の社会が技術をつかいこなすにはまだ未熟であり、技術のほうも社会の基本的な諸力を十分操縦出来ないことを裏書きしているようなものである。
未来派創立宣言がフランスのフィガロ紙に掲載されたのは、第一次世界戦争が勃発する5年前、1909年2月20日のことである。機械産業、植民地政策による世界のグローバル化が始まるとともに、社会/共産主義が世界に広まり、農民、労働者、学生運動が盛り上がりをみせていた動乱の時代であった。
1907年に発表されたピカソの『アヴィニヨンの娘たち』に端を発するアヴァンギャルド芸術は、未来派宣言によってismとして社会の変革や文化の発展の最先端に立つことになる。
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