ロシア・アヴァンギャルド(1)
『複製技術時代の芸術』のあとがきでベンヤミンは、エチオピア植民地戦争にたいする、イタリア未来派の首唱者マリネッティの宣言文を引用している。
われわれ未来派は、二十七年まえから、戦争を醜悪なものだとする考えかたに反抗してきた。・・・・・われわれはここにあらためて確認する・・・・・戦争は美しいものであると。なぜなら、ガスマスクや威嚇用拡声器や火焔放射器小型戦車によって、人間のちからが機械を支配していることを証明出来るからだ。戦争は美しい。なぜなら、人間の肉体を鋼鉄につつむ夢がはじめて実現出来るのだ。戦争は美しい。なぜなら、花の咲きみだれる野を、火をふく機関砲の焔の蘭でかざることができる。戦争は美しい。なぜなら、銃火と砲声、死の静寂、芳香と腐臭をひとつの交響楽に統一することができる。戦争は美しい。なぜなら、大型戦車や編隊飛行機のえがく幾何学的な図形、炎上する村落から立ちのぼる煙のらせん模様など、新しい構成の美が創造されるからだ。・・・・・未来派の詩人や芸術家がこうした戦争美学の根本原理に留意するならば、新しいポエジーや新しい造形を求めるわれらの苦闘は、それによってかがやかしい光を浴びるであろう。
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